本を書きました

皆さん、こんにちは。安田です。
昨日、初の著書が発売されました。
昨晩から徐々に、全国の書店に並び始めているようです。

「暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が不登校・中退者の進学塾をつくった理由」(講談社)

僕は人前に出るのが苦手なので、できるだけ目立たずにいたい。生まれてから現在のことを書くなんて、正直とても恥ずかしい。
それに、この本を書くことで傷つく人がいる。

全て事実ではあるけれども、生まれ育った環境について書くことにはためらいが最後までありました。
けれども、本を出すことで、一人でも多くの苦しんでいる人を助けられるのであれば、全てを書こうと決めました。
不登校や高校中退で悩んでいる方、家庭環境で悩まれている方、うつ病で通院されている方、会社が合わなくて辛い方・・・

そんな「生きづらさ」を抱えた人たちが、
「生きていれば、いいことがあるかもしれない」
そう思ってほしくて書いた本です。

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もしかしたら前半は、読んでいて苦しい気持ちになるかもしれません。
生まれながらに発達障害があったこと。父が暴力的であったこと。父が外に子どもを作って帰ってこなくなった時のこと。母も外に恋人を作って帰ってこなくなったこと。そして12歳で家を出た時のこと。暴走族に追いかけ回されていた日々のこと・・・

けれども、後半からは再生と希望の物語が始まります。
20歳の時に運良く大学に合格し、そこで様々な人の助けがあったこと。せっかく入った大企業を4ヶ月でドロップアウトしたけれど、そこでもたくさんの人たちが助けてくれたこと。そして、起業・・・

今のキズキを形作る全てのことを書きました。
また、この本は誰かを非難するために書いた本ではありません。
僕に害を加えてきた人であっても、その裏には必ず、その人なりの苦しみや悲しみがありました。発達特性や家庭環境、それに「孤独」や「憎悪」が存在していました。
そのことを知ったことで、人間の多様性や豊かさについて気づいたことも、僕にとっては大事な経験でした。

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一つお願いがあります。
本を手に取ってくださった皆さま、ぜひSNSやブログ、Amazonなどで感想を書いていただけたら嬉しいです。
そうすることで、様々な「暗闇」を抱えた当事者の方、そのご家族の方、支援の世界で試行錯誤している方、一人でも多くの方の目にこの本が触れることにつながっていきます。

また、本の売上は、一部経費等を除き、キズキが行っている少年院支援や低所得世帯向けの塾内奨学金給付などに使用していく予定です。
全ての生きづらさを抱えた人に、この本が届いて欲しい。
そう強く願っています。

人間には変えられるものと変えられないものがある

少し前の話だが、ある卒業生が急に訪ねてきた。

「怖くて死にきれなかった」
自殺を思い止まって、その足で1年ぶりにキズキを訪ねてくれた。椅子に座るとすぐに、ただひたすら涙を流していた。
30分ほど経って、ようやく状況を話してくれた。

大学でもアルバイトでもうまくいかず、「自分は普通になりたいだけなのに」と悩んでいた。
だから「僕なんて、普通の人より5年も遅れて働き始めたよ。」と僕自身の話をした。
子どもの頃の話、会社を4ヶ月で辞めて引きこもっていた頃の話、そして経営者になっても人間関係で問題を起こしてばかりで悩んでいると話をした。未だに普通には生きられない・・・と。

「安田さんは、人生焦りませんか?」
と最後に聞いてきた。
「人生に遅れた分、90歳ぐらいまで働けるように筋トレしてる」
と真面目に話したら、最後は笑って帰ってくれた。

人間には、変えられるものと変えられないものがある。
顔や身長と同じように、自分の発達特性や感受性を変えることも難しい。だから変えられるものにフォーカスを当てて、自分なりの生き方を探していくしかない。
キズキとして「学習」や「受験」以外のサポートももっと力を入れたいと改めて思った。

「長すぎた入院」

衝撃的なドキュメンタリーだった。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259602/index.html

統合失調症、軽度知的障害などの方々が、「経済発展に役立たない」という理由で何十年も病院に押し込められていたという事実。
「実家に帰りたい」という子どもに、「負担が重すぎる。迷惑だ。人生をやめてもらわないと。」とテレビカメラの前で堂々と発言する親。

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僕はひきこもり支援の重要性を、「社会投資」として説明することが多い。TaxEaterがTaxPayerに変わることは、少子高齢化社会の中で必要だから。
そして、ひきこもり支援のみならず行政の事業はもっと費用対効果を考えて行われるべきだとも思っている。きちんとしたKPIが置かれず、適切な評価が行われない事業がとても多いから。
けれども、功利主義に陥ってはいけない。より重要なことは人間の尊厳が守られることだ。それらを無視した社会政策には意味がない。
追記。
僕はこの親を批判する気は無いし、その資格があるとも思わないが、カメラの前で堂々と「人生やめてもらいたい」と言えてしまう感性が、ある意味この国が精神障害を持つ方をどのように見てきたのかを物語っているように感じた。

スタディクーポンとアウトリーチ

最近は、週2回〜3回ぐらい、足立区でひとり親で生活保護世帯のアウトリーチ(家庭訪問支援)を、僕自身がやっている。
久々に現場に入れて、とても楽しい。

渋谷区で4月から開始するスタディクーポンは、
・普通の子どもと同じような選択肢が提供されるため、スティグマを生まない。
・民間資源を利用するため、効率が良く、量的なインパクトを出しやすい。
というメリットがある。

一方、教育へのモチベーションが高くないため、そもそも「塾を選ぶ」ことをしない家庭もあります。自ら支援の現場を探し通うことが難しい方もいます。待っているだけでは支援の現場に来てくれない方もいる。
そこで弊社は、足立区にて生活保護世帯のひとり親家庭に直接お伺いして、子どもたちに学習支援を行なっている。

スタディクーポンもアウトリーチも、どちらも大事なことだと思っている。
必要な人に必要な支援が、届きますように。

弊社インターン生からの、スタディクーポンへの想い。

ひとり親の生活保護世帯から国立大学に入学した経験を持つ弊社のインターン生が、スタディクーポンについて熱い想いを Facebookに投稿してくれていた。
無料塾も素晴らしい支援の形だと思うけれども、一方で「自分に合った支援を選びたい」という当事者にとって、スタディクーポンは重要な支援の形なのだと再認識した。

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(以下、引用)
高校生だったとき、ぼくは東大を目指していた。
受験塾に通いたかったけれども、家にはお金がなかった。
当時(今も?)、子どもの貧困支援といえば、貧困世帯向けの無料塾が定番だったと記憶している。でも、小さなNPOがやっているような無料塾はレベルが低いし、善意を煮詰めたような雰囲気が息苦しかった。
貧困や親の精神疾患などが重なって、ぼくはおかしくなった。勉強も手がつかない。このことは誰にも相談しなかった(できなかった)。毎日家庭の心配なんてしなくてよい豊かな生まれの同級生(ぼくの偏見が多分に含まれているだろう)をみては、心を乱した。
結局、東大に落ちた。浪人の計画を立てたが、どうにもならなかった。およそ「東大と差別化できるから」という理由で選んだ第2志望の大学に入った。
それからはずっと、当時の自分を救う方法を探してきた。
そして、心から納得できる方法の1つをやっと見つけた。
それがこのスタディクーポン。
塾に使えるクーポンを配る仕組みが画期的だ。
子どもは、大手学習塾からメンタル支援の塾まで、一人ひとりのニーズに合った塾を選べるし、スティグマを感じることもない。教育専用のクーポンだから、「家計の足し」に消えることなく、子どもの教育費として使われる。
このモデルが成功すれば、全国各地に広がりはじめるだろう。ぼくはこの歴史の最前線に立って、家庭環境にかかわらず、子どもが将来を選べる社会をつくりたい。

不登校の支援に必要なこと

僕が経営するキズキという会社のメイン事業の一つは、「不登校・中退経験者」を対象とした大学受験塾の運営だ。
不登校や中退を経験しながらも、「もう一度やり直したい」と願う若者たちが、僕たちのもとに通っている。

今は必死に頑張っている彼らであっても、相談に来た当初は「人よりも遅れてしまった」「もうやり直せないかもしれない」と悩んでいたことがほとんどだ。

そんなとき、僕はこんな話をする。
「学校がもし合わないなら、無理していく必要はないんだよ」
「不登校・中退でも、高卒認定試験合格して大学・専門学校に進み、楽しく生きている人は沢山いるよ」

こんな話をすると、不登校に悩む子どもたちは、うつむいていた顔を少しだけ上げる。
不登校はクラスに一人か二人しか発生しない。だから彼らは「自分が特別、他人より劣っている」「劣っている自分はもう何をしても無駄だ」と悩む。

けれども、考えてみれば当たり前だが、「学校が合わない」なんてことで、人生が決まるわけがない。学校が合わなければ、別の選択肢を考えればいいだけの話だ。

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今、ネットで炎上している「クラスジャパンプロジェクト」のウェブサイトを見て、とてもショックを受けた。
彼らはこのようなミッションを掲げている。

「日本全国の不登校者全員の教育に取り組み通学していた学校に戻す」

このミッションを、不登校や中退の当事者が見たらどのように思うか?
学校にいけない自分に劣等感を持つ。

大人の勝手な「正論」を押し付けることが、不登校・中退の当事者の「社会復帰」に繋がるのか?
多くの子どもたちは劣等感を強め、ますます自分の殻に閉じこもるだけだ。

日頃から不登校・中退の支援をしている者にとっては自明である。
不登校の方を傷つけるようなメッセージが、メディアに取り上げられていることを、すごく悲しく思った。

精神科医の斉藤環先生もTwitterに
「思春期心性への配慮がまるで感じられないこのプロジェクトに強い戸惑いを禁じえません。」
「これまでの不登校支援をめぐって蓄積されてきた知見を完全に否認するかのようなプロジェクトに賛同する自治体があることが驚き。」
と書いていたが、まさにこのような思想に基づいた支援は、不登校支援にとってマイナスでしかない。

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考えてみれば不思議である。
大人になって「会社を辞めたい」「仕事を変えたい」と思ったとしても、それは社会問題として捉えられることはない。
けれども、子どもが学校に行きたくなかったら、「不登校」として社会問題化される。

だから不登校はスティグマとなり、「自分は他の同級生よりも劣っている」というコンプレックスに繋がる。そして、不登校の子どもたちの「やり直し」を阻む。「劣っている自分は、何をやっても無駄だ」と悩めば悩むほど、社会復帰は難しくなるからだ。

「日本全国の不登校者全員の教育に取り組み通学していた学校に戻す」
こんなミッションを当事者が目にしたら、「学校に戻れない自分はダメだ」と子どもたちは意味なく自分を責める。それは彼らの「社会復帰」を考えた時に全く逆効果だ。

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公立学校に通う場合、多くは地域によって通う学校が決まる。そこに選択の自由はない。
選択の自由がない中で、その学校に合うか合わないかは、「運」のようなものだ。

学校制度とは誰かが百数十年前に創り出した制度である。だから当然合わない子どももいる。
だから、合わなければ逃げ出して良い。逃げてもいくらでも道はある。
大人が伝えるべきは、「様々な道」の存在であって、「学校しかない」という価値観の押し付けではないはずだ。

NGOエクマットラの応援

◎学生時代お世話になったNGO「エクマットラ」のクラウドファンディングの宣伝です(スタディクーポンが終わったばかりで恐縮なのですが)
https://readyfor.jp/projects/ekmattra55

私が応援しているバングラデシュのNGO、Ekmattra Japan エクマットラジャパンのクラウドファンディングの紹介させてください。
(本日、クラウドファンディング終了です)

エクマットラとは、2003年に渡辺大樹さんがバングラデシュの大学生たちと立ち上げた、ストリートチルドレンを支援するNGOです。創設から14年、現在ではスタッフ50名を抱えるバングラデシュでは有名なNGOになりました。

私とエクマットラの出会いは、2006年、私が大学3年生の頃です。
当時、バングラデシュの娼婦街でドキュメンタリー映画を創っていた私(今も細々製作中・・・)は、インターネット検索で知ったエクマットラに、「インタビューの翻訳に協力してほしい」とお願いに行きました。

そこで出会った渡辺大樹さんに、当時大学生だった私はとてつもなく大きな影響を受けました。
まず、ベンガル語が現地人たちと全く同じレベルで使えること。現地のことを100%理解した上で、本当に現地に必要な支援を考え抜いていることです。
その上で、「日本から寄付をもらわない」ことを15年間ポリシーとしていました。なぜなら、「現地の課題は、現地の人たちで解決するべきだ」と渡辺さんは考えていたからです。渡辺さんは、バングラデシュの大手企業や富裕層を回り、ベンガル語を用いて、寄付依頼をしていました。

「バングラデシュという国が、どうあるべきなのか」
「バングラデシュの人達は、どうあるべきか」

現地人と同じ目線で考え抜いてました。
「僕もこんな人になりたい」
社会問題に取り組む上で、「当事者の目線を徹底的に持つ」という姿勢は、私は起業当初からとても大事にしていることです。
その姿勢は、全て渡辺大樹さんから学びました。

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それから10年、久々に渡辺さんにお会いすると、クラウドファンディングを始めたとの事でした。
積極的には「日本からの寄付を受け取らない」
そう決めていた渡辺さんが、初めて日本で大々的に寄付募ることにしたそうです。

ストリートチルドレンたちのための全寮制の職業訓練校を作りたい。その準備を9年かけてやってきた。けれども、どうしても最後の数百万が足りない。
そこで、今回クラウドファンディングを始めることになったそうです。

私は聞きました。
「ストリートチルドレンの寄宿舎に、そんなにお金をかける必要があるのか?」
すると、渡辺さんは答えます。

「ストリートチルドレンたちの学校だからこそ、富裕層の子どもたちが通いたくなるような施設が必要なんだ」
「ストリートチルドレンこそ、豊かな教育を受けるべきなんだ」

私は自分の浅はかな発想を恥じました。

渡辺さんが目指しているのは、ストリートチルドレン達が大逆転できる世界です。どんな状況にあったとしても、平等に機会が提供されている社会。
私はその理念に100%共感し、この度クラウドファンディングの応援をすることにしました。

寄付できない方は、少なくともシェアだけでもしませんか?
詳しくは、本文をお読みください!!
https://readyfor.jp/projects/ekmattra55

相対的貧困とスタディクーポン

昔、テレビもシャワーも冷蔵庫もないバングラデシュの農村で、しばらく過ごしていたことがあります。
不便な生活でしたが、僕の目には、彼らが特段不幸には見えませんでした。バングラデシュの農村でも、東京と同じような普通の日常が営まれていました。

「隣の家にテレビがなければ、自分の家にテレビがなくても、不幸を感じない。」

その時に学んだことです。人は「周りとの比較」によって、不幸を感じる。

確かに、歴史上これまで多くの経済学者たちが、貧困とは「単に飯が食えない状態」ではなく、「一般の人々であればできることができない状態」にある、と考えています。つまり格差のある状態のことです。

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日本の子どもたちの場合、教育「格差」は「学校外」で広がります。
日本の公教育は安く、かつ、収入が少なければ無償になるため、公教育それ自体は差がつきづらいからです。
また、高校や大学に序列が明確にある以上、富裕層の親は子どもの将来のために学校外教育に投資するからです。そこから格差が生まれます。

そこで、このスタディクーポンです。低所得世帯の子どもたちに、学校外教育に使えるクーポンを配布します。
そのことで、他者と比較して「自分だけ塾に行けない」と子供達が劣等感を感じたりすることも、そのことで将来的に学力に開きが出てしまうことも、なくしていきます。
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スタディクーポン、いよいよあと3日。ネクストゴールまで、あと200万円切りました。あと一押しです。
みなさま、どうぞよろしくお願いいたします!
https://camp-fire.jp/projects/view/42198

福祉におけるウェブマーケティングの重要性

座間の事件を受けて、「死にたい」「自殺」などのワードで検索をかけてみる。
残念ながら、「福祉的な支援情報」は、そこまで多くは上位表示されていない。

困難を抱える若者への福祉的支援を考える時、インターネットは有効なツールだ。
スマホ時代になり、ほとんどの若者が、グーグルやツイッターで検索をする。

当然、我々若者支援者も、インターネット検索に詳しくならなければいけない。

グーグル検索の場合、
・どのようなウェブサイトが、検索で上位表示されているのか。グーグルのアルゴリズムを知ること。
・どのようなウェブサイトであれば、深く読み込んでもらえるか。読みやすい文章・デザインにこだわること。(離脱率等で、仮説検証していく)
が、基本となる。

Twitterであれば、
・「#自殺」「#死にたい」などの言葉で、10分に1回ぐらい繰り返し投稿すること
・エンゲージメント数を見ながら、「何がベストな140字なのか」投稿の文章を変え続けること
などが考えられる。

福祉分野でアウトリーチというと、「直接家庭を訪問する」イメージが未だに強い。
もちろん、それは大事なことだが、我々支援者はもっとインターネットを使いこなさなければいけない。

弊社キズキのメイン事業である不登校・中退経験者向けの学習塾には300名弱の生徒が通っているが、ほぼ全員がインターネット経由で塾を訪れている。インターネットを通じたアウトリーチは非常に有効なのだ。

もちろん、幾つかのNPOが、インターネット上でも自殺予防を行っている。
しかし検索結果を見る限り、インターネットでのアウトリーチを行う組織がもっと増えなければいけないように思う。
弊社キズキも、できることを模索中だ。

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ちなみに、本日16時25分にグーグルで「自殺」と検索した時の、上位表示4つ。(シークレットモード・東京都から検索)