キズキの4年前の卒業生から、内定の報告。ずっとやりたかったテレビ制作の会社らしい。
引きこもりがちで、通塾さえ安定しなかった頃を思い出すと、別人のようだ。
やっぱり人は何度でもやり直せるんだな。
卒業生からの内定報告
18 日曜日 3月 2018
18 日曜日 3月 2018
キズキの4年前の卒業生から、内定の報告。ずっとやりたかったテレビ制作の会社らしい。
引きこもりがちで、通塾さえ安定しなかった頃を思い出すと、別人のようだ。
やっぱり人は何度でもやり直せるんだな。
18 日曜日 3月 2018
少し前の話だが、ある卒業生が急に訪ねてきた。
「怖くて死にきれなかった」
自殺を思い止まって、その足で1年ぶりにキズキを訪ねてくれた。椅子に座るとすぐに、ただひたすら涙を流していた。
30分ほど経って、ようやく状況を話してくれた。
大学でもアルバイトでもうまくいかず、「自分は普通になりたいだけなのに」と悩んでいた。
だから「僕なんて、普通の人より5年も遅れて働き始めたよ。」と僕自身の話をした。
子どもの頃の話、会社を4ヶ月で辞めて引きこもっていた頃の話、そして経営者になっても人間関係で問題を起こしてばかりで悩んでいると話をした。未だに普通には生きられない・・・と。
「安田さんは、人生焦りませんか?」
と最後に聞いてきた。
「人生に遅れた分、90歳ぐらいまで働けるように筋トレしてる」
と真面目に話したら、最後は笑って帰ってくれた。
人間には、変えられるものと変えられないものがある。
顔や身長と同じように、自分の発達特性や感受性を変えることも難しい。だから変えられるものにフォーカスを当てて、自分なりの生き方を探していくしかない。
キズキとして「学習」や「受験」以外のサポートももっと力を入れたいと改めて思った。
18 日曜日 3月 2018
衝撃的なドキュメンタリーだった。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259602/index.html
統合失調症、軽度知的障害などの方々が、「経済発展に役立たない」という理由で何十年も病院に押し込められていたという事実。
「実家に帰りたい」という子どもに、「負担が重すぎる。迷惑だ。人生をやめてもらわないと。」とテレビカメラの前で堂々と発言する親。
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僕はひきこもり支援の重要性を、「社会投資」として説明することが多い。TaxEaterがTaxPayerに変わることは、少子高齢化社会の中で必要だから。
そして、ひきこもり支援のみならず行政の事業はもっと費用対効果を考えて行われるべきだとも思っている。きちんとしたKPIが置かれず、適切な評価が行われない事業がとても多いから。
けれども、功利主義に陥ってはいけない。より重要なことは人間の尊厳が守られることだ。それらを無視した社会政策には意味がない。
追記。
僕はこの親を批判する気は無いし、その資格があるとも思わないが、カメラの前で堂々と「人生やめてもらいたい」と言えてしまう感性が、ある意味この国が精神障害を持つ方をどのように見てきたのかを物語っているように感じた。
18 日曜日 3月 2018
最近は、週2回〜3回ぐらい、足立区でひとり親で生活保護世帯のアウトリーチ(家庭訪問支援)を、僕自身がやっている。
久々に現場に入れて、とても楽しい。
渋谷区で4月から開始するスタディクーポンは、
・普通の子どもと同じような選択肢が提供されるため、スティグマを生まない。
・民間資源を利用するため、効率が良く、量的なインパクトを出しやすい。
というメリットがある。
一方、教育へのモチベーションが高くないため、そもそも「塾を選ぶ」ことをしない家庭もあります。自ら支援の現場を探し通うことが難しい方もいます。待っているだけでは支援の現場に来てくれない方もいる。
そこで弊社は、足立区にて生活保護世帯のひとり親家庭に直接お伺いして、子どもたちに学習支援を行なっている。
スタディクーポンもアウトリーチも、どちらも大事なことだと思っている。
必要な人に必要な支援が、届きますように。
18 日曜日 3月 2018
ひとり親の生活保護世帯から国立大学に入学した経験を持つ弊社のインターン生が、スタディクーポンについて熱い想いを Facebookに投稿してくれていた。
無料塾も素晴らしい支援の形だと思うけれども、一方で「自分に合った支援を選びたい」という当事者にとって、スタディクーポンは重要な支援の形なのだと再認識した。
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(以下、引用)
高校生だったとき、ぼくは東大を目指していた。
受験塾に通いたかったけれども、家にはお金がなかった。
当時(今も?)、子どもの貧困支援といえば、貧困世帯向けの無料塾が定番だったと記憶している。でも、小さなNPOがやっているような無料塾はレベルが低いし、善意を煮詰めたような雰囲気が息苦しかった。
貧困や親の精神疾患などが重なって、ぼくはおかしくなった。勉強も手がつかない。このことは誰にも相談しなかった(できなかった)。毎日家庭の心配なんてしなくてよい豊かな生まれの同級生(ぼくの偏見が多分に含まれているだろう)をみては、心を乱した。
結局、東大に落ちた。浪人の計画を立てたが、どうにもならなかった。およそ「東大と差別化できるから」という理由で選んだ第2志望の大学に入った。
それからはずっと、当時の自分を救う方法を探してきた。
そして、心から納得できる方法の1つをやっと見つけた。
それがこのスタディクーポン。
塾に使えるクーポンを配る仕組みが画期的だ。
子どもは、大手学習塾からメンタル支援の塾まで、一人ひとりのニーズに合った塾を選べるし、スティグマを感じることもない。教育専用のクーポンだから、「家計の足し」に消えることなく、子どもの教育費として使われる。
このモデルが成功すれば、全国各地に広がりはじめるだろう。ぼくはこの歴史の最前線に立って、家庭環境にかかわらず、子どもが将来を選べる社会をつくりたい。
08 木曜日 3月 2018
僕が経営するキズキという会社のメイン事業の一つは、「不登校・中退経験者」を対象とした大学受験塾の運営だ。
不登校や中退を経験しながらも、「もう一度やり直したい」と願う若者たちが、僕たちのもとに通っている。
今は必死に頑張っている彼らであっても、相談に来た当初は「人よりも遅れてしまった」「もうやり直せないかもしれない」と悩んでいたことがほとんどだ。
そんなとき、僕はこんな話をする。
「学校がもし合わないなら、無理していく必要はないんだよ」
「不登校・中退でも、高卒認定試験合格して大学・専門学校に進み、楽しく生きている人は沢山いるよ」
こんな話をすると、不登校に悩む子どもたちは、うつむいていた顔を少しだけ上げる。
不登校はクラスに一人か二人しか発生しない。だから彼らは「自分が特別、他人より劣っている」「劣っている自分はもう何をしても無駄だ」と悩む。
けれども、考えてみれば当たり前だが、「学校が合わない」なんてことで、人生が決まるわけがない。学校が合わなければ、別の選択肢を考えればいいだけの話だ。
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今、ネットで炎上している「クラスジャパンプロジェクト」のウェブサイトを見て、とてもショックを受けた。
彼らはこのようなミッションを掲げている。
「日本全国の不登校者全員の教育に取り組み通学していた学校に戻す」
このミッションを、不登校や中退の当事者が見たらどのように思うか?
学校にいけない自分に劣等感を持つ。
大人の勝手な「正論」を押し付けることが、不登校・中退の当事者の「社会復帰」に繋がるのか?
多くの子どもたちは劣等感を強め、ますます自分の殻に閉じこもるだけだ。
日頃から不登校・中退の支援をしている者にとっては自明である。
不登校の方を傷つけるようなメッセージが、メディアに取り上げられていることを、すごく悲しく思った。
精神科医の斉藤環先生もTwitterに
「思春期心性への配慮がまるで感じられないこのプロジェクトに強い戸惑いを禁じえません。」
「これまでの不登校支援をめぐって蓄積されてきた知見を完全に否認するかのようなプロジェクトに賛同する自治体があることが驚き。」
と書いていたが、まさにこのような思想に基づいた支援は、不登校支援にとってマイナスでしかない。
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考えてみれば不思議である。
大人になって「会社を辞めたい」「仕事を変えたい」と思ったとしても、それは社会問題として捉えられることはない。
けれども、子どもが学校に行きたくなかったら、「不登校」として社会問題化される。
だから不登校はスティグマとなり、「自分は他の同級生よりも劣っている」というコンプレックスに繋がる。そして、不登校の子どもたちの「やり直し」を阻む。「劣っている自分は、何をやっても無駄だ」と悩めば悩むほど、社会復帰は難しくなるからだ。
「日本全国の不登校者全員の教育に取り組み通学していた学校に戻す」
こんなミッションを当事者が目にしたら、「学校に戻れない自分はダメだ」と子どもたちは意味なく自分を責める。それは彼らの「社会復帰」を考えた時に全く逆効果だ。
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公立学校に通う場合、多くは地域によって通う学校が決まる。そこに選択の自由はない。
選択の自由がない中で、その学校に合うか合わないかは、「運」のようなものだ。
学校制度とは誰かが百数十年前に創り出した制度である。だから当然合わない子どももいる。
だから、合わなければ逃げ出して良い。逃げてもいくらでも道はある。
大人が伝えるべきは、「様々な道」の存在であって、「学校しかない」という価値観の押し付けではないはずだ。