最近は多少時間があるので、部屋でよくボーっとテレビを見ている。
今年の自殺者の数は過去最高のペースらしく、よく「自殺」についての特集がやっているのに気づく。
僕自身は自殺を考えたことはないけれども、精神的に強い人間ではないので、気持ちが分からなくはない。
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バングラデシュの娼婦街には一人、変わった女の子がいた。
"Foolish"と娼婦たちに呼ばれていた、ちょっと行動がおかしな彼女なのだが、僕の仕事を手伝ってくれていたバングラデシュ人にちょっとした好意を抱くようになっていた。
そんなある日、彼女は自分の腕を見せながら「あなたが私に振り向いてくれないから」と彼につぶやいているのを聞いた。
よく見ると、リストカットの跡があった。
たぶんそれは彼への好意が受け容れられないからだけではなく、娼婦街に売られてきたときから重ねられてきた傷なのだと思う。
バングラデシュにおいて精神疾患というのは、「頭のおかしな人」がなる病気だと思われている。
インテリ層でさえそうだ。
そういった人々を救う仕組みは非常に少なく、郊外の病院に隔離されることが多い。
当然ながら、娼婦街においても彼女たちへの精神的なサポートはほとんどなかった。
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去年、何度かブログに書いたけれども、最近話題の日本の貧困もアジア諸国の貧困も、「食えない」貧困ではない。
誰も頼る人がいなかったり、将来に希望が持てなかったり・・・僕が出会ってきた人々は、そういったことに苦しんでいた。
だから、途上国にインフラを作るのも、教育レベルを上げることも、人間の「幸せ」に直結したものではない。
(そうじゃなきゃ、ALWAYS三丁目の夕日なんて流行らないよね)
そうではなくて、「幸せ」とは何か、そしてそれを得るにはどうしたらいいのか。それは日本だけの問題でも、バングラデシュの娼婦街だけの問題でもない。
「お金=幸せ」という共同幻想が消えつつある「途上国」も同じような問題に、これから直面していくんじゃないかと僕は思っている。