年末年始は南国に帰省していた。

もちろん日本語が最も得意な言語だし、海外に出始めたのも20歳を過ぎた頃だった。それに現地の美点ばかりが見えているわけではない。キツイことも山のようにあった。

それでも、僕にとってはあちらの方が心地よい。その理由をよく考えるのだが、一つに「人と社会」の関係性があるように思う。

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例えば、洋服屋の店員が椅子に座って携帯電話をいじって客に見向きもしない、なんて光景はイスラエル・パレスチナでも、ルーマニアでも、バングラデシュでも、タイでも、当たり前に見られる。

確かに服屋の店員が常に立って笑顔を振りまいている必要はない。経済効果もたぶんない。座って携帯電話をいじっているのが当たり前な社会であれば、店員の態度に関係なくモノは売れる。

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わずかな期間であったが会社員をしていた頃、オフィスでずっとPCをいじっているのに、スーツを着て革靴を履く必要性が分からなかった。だから革靴を脱いで椅子にあぐらをかいて仕事をしていたのだが、なぜか上司に怒られ、理由を聞くと「だらしない」と説明を受けた(そして僕は「やっぱり会社員は向いてないんだな」と納得したのだった)

実際にクールビズ28度のオフィスに革靴+靴下はつらく、2009年夏僕は人生初めての水虫になった。イスラエル人の仕事ぶりが懐かしかった。

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「人間」が集まり、「社会」が生まれる。それなのに、その「社会」が意味なく「人間」を苦しめる。

地球上のどこにも楽園なんてないことは20代前半の海外生活の中で痛いほど分かったが、それでも日本にいるのは苦しいなと思うことがある。

そういうときに南国に帰り一息つくことは、この社会で頑張っていく上で必要だと思った年末年始だった。