昨日は、最近マスコミなどを通じて有名になってきた某NPOのセミナーにいってきた。
日本の貧困者のために、生活保護の支援手続きや生活保護相談などを行う団体だ。最近は「格差社会」特集などの雑誌を見るたびに名前を拝見していたので、結構気になっていた。僕自身、社会的にも経済的にも貧困だった時期があるので。
 
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話を聞いてみると、
「政府は生活保護基準を上げろ」「国家は弱者を助けろ」
そればかり。どの質問に対しても、「政府がおかしい」と答えを誘導したがる。
あげくの果てには、「昔は年功序列社会で、賃金も年々上昇し企業が社会を守る時代だった。今は企業が人を切り捨てる時代だ。」と。
 
そこで、僕は質問をした。
「労働市場の硬直化は、たいした仕事をせずに高額の給料をもらっている管理職と、派遣で食いつなぐロストジェネレーションを生み出しました。その点で、過去の労働市場にも問題があったと私は考えています。また新興国の発展などを考えた場合、日本の経済力はどんどん落ちていくと考えられ、社会保障費は当然削らざるを得ない状況が生まれます。その意味で、一層労働市場の流動性が求められるかもしれません。そういった社会状況の中であなたたちは、これからどういう社会を創りたいのですか??」
 
「僕ら活動家は、政府に反対してればいいだけだから、どういう社会を創りたいとかには関心がない。それに政府はまだまだお金があるはず。」
「それでは、国のどこにお金があるんですか??」
「それは・・・、あると思っています・・・僕ら活動家は政府に反対してればいいだけだから、関係ない。」
答えに詰まると、その場にいた、セミナーのアシスタントの女性が、 
「自衛隊が給油活動を行うぐらいなら、お金はあるはずでしょ。」
と答えた。 
 
何もいえなかった。
自衛隊派遣を決めた政治家たちも、その多くは「それが日本を守るためになる」と考えているだけのことだと思う。(僕は賛同しないが・・・)
それは「どちらが日本国民のためになるか」という価値観の違いであり、大切なことはその価値観をぶつけることである。
そもそも、自衛隊が給油活動を辞めれば賄えるほど、社会保障費は小額なのだろうか。
 
ちなみに、このときの講演者は初対面の僕に対して敬語さえ使えていなかった。年齢はそう変わらないような気がしたが・・・「君」と呼ばれたときには、びっくりした。
国家の政策を変えたいのならばロビーイングが必要だと思うのだけれども、これじゃ誰にも相手にされないでしょう。政治家の先生方は、言葉遣いを気にされるでしょうから。 
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既存左翼(と一括りにしてよいのかは分からないけれども)は小泉改革を批判したがるが、既得権益をつぶそうとした点は評価できる。(派遣法改正など小泉改革に問題がなかったわけではないが)僕ら若者は既得権益の被害者ですから。
  
リーマン破綻で「ざまぁみろ」と言っていた既存左翼を見ていると、「君らの年金は誰が運用しているのかな」と思わされる。 それでいて、セーフティネットの必要性を訴えるのだから笑
断言できるが、彼らはこの社会を変えられない。 
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ホリエモンのブログをちょくちょく見ているのだが、結構おもしろい記事を発見した。
この記事で共感できるところは、
 
>一時的な所得格差拡大は必然だ。これだけ経済がグローバル化してるんだもん。中国やインド、BRICS諸国などの平均所得と日本人の平均所得を比べてみれば分かる。格差どころの騒ぎではない。
元々日本の中だけ、平均年収を高く保ち、そのツケを発展途上国にまわしていただけの話だろう。その発展途上国が経済発展し先進国の仲間入りをしつつあり、また情報化社会の進展により、自分達が先進国に搾取されていた事実を知り、その力を背景に、日本などの先進諸国に圧力がかけられつつあるのだ。
つまり、世界的に平均所得が平準化する流れなわけだ。日本だけがそれに抵抗することは許されないだろう。その準備段階が、小泉構造改革だったわけだ。日本だけでみれば格差拡大だが、世界的に見れば格差は是正されつつある。世界的にみて許される範囲で、世界的な格差是正の流れに乗り、でもできるだけ日本が優位に立てるようにする、という難しい舵取りを迫られているわけだ。つまり、日本は世界からみても、これだけの成果をあげているから、平均所得がこれだけ高くてもいいよ。と言われる政治が求められていたわけだ。
以上の文章だ。
 
新興国の経済発展が続けば、日本の格差社会は今後そう変わらないかもしれない。
むしろ悪化するかもしれない。格差を是正しようとする流れそのものに、無理があるのかもしれない。
 
 
「食えない」のは確かに問題ではあるが、「食えない」だけの人は未だに少ない。(一部の「食えない」人が生まれた背景には、人間関係のセーフティネットの欠如がある。これは途上国にも共通する。)
 
今の日本社会の問題とは、「貧しくても幸せだ」と思える人が少ないということだ。
僕は途上国に通うにつれて、経済的豊かさは人間の幸福と比例しないのではないかと考えるようになった。(幸福度指数については以下 http://www.happyplanetindex.org/map.htm どこまであてになるかは分からないが・・・)
 
人は自分の大切なものを守りたいと思い、他者から承認されたいと願い、暖かい友人関係の中で生きていたいと祈る。それが欠如した状態が、イスラエル・パレスチナで苦しむ一部の人々であり、バングラデシュのセックスワーカーの女性たちなのだと思う。
 
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それならば、格差があっても良い。
貧しくても努力によって豊かになれる社会、努力がいやで貧しいままであっても幸せであれる社会こそが、目指すべき社会なんじゃないか。
 
元貧困者であった僕は、そういう社会を創りたい。つらかったあの頃を思い出すたびに、そう思う。