僕は中退や不登校、ニートといった、社会のレールから一度外れてしまった若者たちの支援をしている。

よく彼らに対して浴びせられる批判は「彼らは夢や志がないからダメになるんだ」という種類もの。
でも、それはちょっと違うな、と僕は思っている。

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先月から僕のNPOが経営する塾に通うことになった不登校の子(中学生)は、はじめに「僕は夢とかないから高校に行く気も起きないんだと思う」と下を向いて語った。

そこでウチのスタッフは、「私が高校受験の時は、怖い人がいなさそうなスカートの長い高校を選んだよ」と伝えた。いじめられっ子だった彼女は、「いじめられないこと」が高校選びの基準だった。

僕の場合も、しょうもない理由だった。下っ端ヤンキーだった僕は、「これ以上ケンカに巻き込まれるのは面倒だ」という理由で、地域で上から七番目、下から三番目の高校を目指した。つまり、一番下と、下から二番目の高校は嫌だった。これ以上、カンパ集めはしたくなかった笑

そんな話をひと通りすると、 「ヤンキーにいじめられない学校に行きたい。」と、ウチに通い始めたその子は語った。そして、勉強を始めた。全く勉強をしたことなかった子が、である。

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人は、「夢」にだけ生きているのではない。
収入や時間、地位や名誉、そういったものの中から、自分の価値観に照らしあわせて将来を選択していく。大人なら誰しもが行なっていることだ。

けれども、子どもや若者に対して、大人たちは「夢をもて!」などと無責任なことを語ってしまうことが多い。
だから若者たちは「ヤリタイこと」に囚われ続けてしまう。
「ヤリタイこと」に囚われ、何が自分の幸福か、を見失ってしまう。

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僕が起業してから最もお世話になっているNPO法人「育て上げ」ネットの工藤理事長の言葉を借りれば、人間の仕事は「ライスワーク」「ライクワーク」「ライフワーク」に分かれる。
「飯を食うために働く」か、「好きなことを仕事にする」か、「人生をかけて成し遂げたいことを仕事にする」か、という3つの分類だ。

http://dricomeye.net/05_sokora/sokora100712.html

そして、その3つに優劣はなく、そのどれを選びとるのかはその人次第だ。

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ちなみに僕は、商社で働く際に、「飯を食うために働く=ライスワーク」を目指した。

満員電車に乗る時点で、「ライクワーク」には成り得ないし、商社で成し遂げたいミッションはなかった。
ただ、毎日そこそこ早く帰れて給与が高いのは、総合商社がダントツだと思った。
「給与」を言い訳にして、僕は商社に決めた。

けれども残念ながら、僕は半年で会社に行かなくなった。
僕は「ライフワーク」にしか関心が持てなかったのだ。

今は起業して、「本当に価値がある」と思える事業を細々とやり続けているので、それなりには満足した生活を送っている。「どう生きたいのか」という問いの答えを、20代後半にしてようやく見つけたのかもしれない。