ここ一、二年で友人たちのほとんどがサラリーマンになったわけだけれども、その多くが「先が見えない」と愚痴をこぼす。
そして僕も。
グローバル経済を動かす構造を見たいと思って商社に入って、動かしている金額が最も大きい部署(=世界の構造が見られる?)に配属されアフリカの案件に関わり、上司や同期に恵まれ、「何が不満なんだろう」と自分でも考える。
 
入社前の約一年に及ぶフリーター生活が楽しかったのは、4月からの商社勤務が決まっていたからかもしれない。
華やかな未来があるような気がしていた。先が見えていたつもりになっていた。
それが今、全く見えなくなってしまった。 
何がしたかったんだっけな。何をしている時が楽しかったんだろう。
 
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「あなたは例えるなら一部分が欠けたお皿で、その欠けた部分を探して、コレでもないアレでもないってやっているだけなんだと思う。」
大学時代の友人に言われた言葉。
どんな仕事をしていても、きっと何かに不満なんだろうって。
 
確かに恋愛にも学校にも仕事にも、僕はずっと何かに不満だった。
だから、ここではないどこかが、きっと将来に待っているんだと思っていた。
でも、最近結婚したその友人を見て、今ここを生きるということについて考えた。
 
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「近代性とはとりつかれたような前進ーつねにもっと欲しいから、ではなく、けっして充分に得ることができないから。もっと大きな志や冒険心を育てるから、ではなく、その冒険が苦くその大志が実現を阻まれているから。前進は続かなければならない。なぜなら、たどり就いたどんな場所も一時の停留所にすぎないから」(バウマン)
 
 「私は私のいる場所をずっと求めてきた。それは誰だって同じ。別にあなただけが苦しんできたわけじゃない。だけどいくら求めたって、探したって、自分の居場所なんて見つかるはずがないのよ。どんなにいろいろな人と付き合ってみたって、自分の場所なんて誰も与えてくれないって・・・中略・・・ だったら私は訊きたいわ。あなたのいるここってどこなの。ここって一体何なの。確かに私は、あなたと一緒にいる場所が欲しかった。だけどそれはあなたと一緒にその場所を一緒に探そうってことじゃなかった・・・中略・・・ 私はあなたにいつも言いたかった。あなたは目を凝らして、一体どこを見ようとしてるのって。あなたは、いまあなたがたっている場所から、そのあなたの足元からずっとつながっている世界しか見ることが出来ないのに、それでもあなたは一体何を見ようとしているのって。」
(白石一文「僕の中の壊れていない部分」)