自衛隊の論文事件に関するテレビを見ていると、田母神氏自身の思想を否定するだけのものが多い。「先の戦争は侵略戦争ではない」という自由史観に対する、嫌悪だ。
「歴史教科書を作る会」が市民全体を取り込む運動として成立しなかった現在、一般的に見れば彼は単なるノスタル爺にしか見えないことには同意するけれども、そこだけだと論点がずれるなぁと素人なりの考えを持って報道を見ていた。 この事件の最も大きな問題は、自衛隊に政治的意見(特に最高指揮官である首相と異なる意見)を持つことが許されるのかということだ。それを許さないとする考え方を「シビリアンコントロール」という。
 
それともう一つ、航空自衛隊のトップがあんなに稚拙な論文を書いているという点が、全く叩かれないのがおかしい。
どこか稚拙かというと、大きく分けて
1、「論文」の体裁をなしていない
2、都合のいい引用しかなされていない
という点である。
 
1に関して言えば、「論文」と名のつくものは、先行研究を検討し、引用文献を明記し、その上で新しい自分なりの主張を打ち出す必要があるはずなのだが、どれもなされていない。
2に関して言えば、今週号のAERAの記事に詳しく載っているが、満州事変への未言及をはじめ、彼の主張に都合の悪い歴史的事実は全て排除されてしまっている。
 
まともな大学教育を受けている人ならば、あんな論文は恥ずかしくてかけない。(彼自身が、学術論文というものを全く読んだことがないということだろう)
色々な思想を持つことは結構だが、その前に勉強が必要だ。こういうときこそ保守派の学者たちも、ちゃんと彼を批判して欲しいところだ。じゃないと単なる田母神さんと同じ似非右翼になってしまいますからね。
 
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最近はAERAもSPAも創もサイゾーも読む時間があるので、退屈な毎日ではあるが情報量には満足できている。
論座が休刊してしまったことだけが、物足りない。いつも読む雑誌が一誌減った。