ドキュメンタリーの主人公としている女性は、僕が出会ってから二年の間に二人の子どもを生んだ。
当初は、「早くこの娼婦街を出たい」と嘆いていた女性も、今回は「子どもを海外で勉強させたいから、できる限りこの娼婦街でお金を稼ぎたい」と僕に語った。
 
イスラエル・パレスチナにしても、アジアの娼婦にしても、人は「悲しい物語」に反応しがちだ。
けれども、そう簡単に「物語」は転がってはいない。
 
貧しい家庭に生まれお金を稼ぐために仕事を探す中で、ブローカーに騙され娼婦街にやってきた女性であっても、その絶望の中でもがきながら次第に環境に順応していく。絶望だけでは、生きてはいけない。
 
僕はそれも、人間の強さだと思う。