僕は小学生の時ずっとピアニストになろうと思っていた。
ピアノの練習をしない日なんて10年間で数日あるかないかだったと思う。
県のコンクール等でそれなりの成績も残せたし、それだけ真剣に取り組んでいた。
結局、中学入学で家を出たのをきっかけにピアノはやめてしまったけれども。
 
 
幼かった僕にとって、自分と家族、自分と社会といった関係性の中で生まれた負の感情を、表出できるのは音楽だけだった。
そして去年、本や写真、映画に囲まれた生活をおくってみて、僕はそういったものに生かされ続けていることに改めて気付いた。
 
 
 
エドワード・サイードと共にアラブ=イスラエル混成オーケストラを結成した、イスラエル人の世界的指揮者ダニエル・バレンボイムは、音楽とインテグレーションの関係についてこう述べている。
「わたしたちが、個人的、社会的、政治的なレベルで陥りがちな思考は、一定のものごとは独立しており、それをしても他に影響を及ぼすことはなく、内的関係は表面に出ないというものです。音楽ではそれはありえません。音楽においては、すべてが連動しているからです。単純なメロディも、複雑な和声(注;和音の繋がりのこと)によって、その性格や意図が大きく変わります。これを学ぶのは音楽からであって、政治活動からではありません。」(みすず書房 「OUT OF PLACE」より)
 
すごく響いた言葉だった。
 
 
 
さて、誰にも言ってなかったけれども、春からある芸術系の専門学校に通おうと思っている。
実は密かに準備を進めていた(もちろん学費の目処が立ち、入試に受かればの話だけれども)。 
 
「表出」から「表現」へ、が目標だ。