うつ病の具合はだいぶよくなった。
通院の必要もとりあえずなくなった。
 
私の通っていた精神科には、いつも変わった人が多かった。
自分の鞄に落書きを続ける女子高生、受付の女性にどうでもいいことを話し続ける若い男性、数えればキリがない。
 
今までは彼らが「異常」で、「正常」な私と住む世界には境界があると思っていた。
でもちょっとしたことをきっかけに、私も「異常」の仲間入りをした。
「異常」であることを、理解できるようになってしまった。
 
 
 
ようやく気付いたことだけれども、「異常」と「正常」の壁は、すごく薄いのだ。
「異常」な世界に入るために、複雑な手続きはいらない。
 
犯罪にしたって、新興宗教にしたって、全ては「正常」との紙一重だ。
森達也が「A」「A2」で言いたかったことは、こんなことだったんじゃないかと思う。
 
 
私たちの社会は、自分と異なるものを「異常」と片付け、受け止めることをやめてしまう。
「異常」は遠くの彼方にあるのではなく、すぐそこにある。
それを受け止めながら、世界の多様さを「美しさ」と感じるられるようにありたいと願う。