今、家に着いた。
 
今日までの一ヵ月半、バングラデシュ、インド、ネパール、タイ、ラオスと旅してきた。
 
旅をしているうちに、所謂「観光地」にはほとんど行かなくなった。
 
新たな町に行くと、バイクを借りて何時間も走ってみる。
どんな大都市であってもバイクで少し走ってみれば、すぐにのどかな田園風景に変わる。
そしてふと見つけた茶屋に、バイクを降りて入ってみる。
 
その土地の匂いを感じ、その土地の人と出会い、時には一日中「どうでもいい」話を続ける。
別れ際には決まって、「今度はいつ来るんだ?三ヵ月後か?」との質問が待っている。
冗談で言ってるのかと思いきや、本人は至って真面目な顔だったりする。
 
 
世界は本当に美しかった。
色々な人々がいて、色々な考えを持って、日々を生きていた。
でも、同時に世界には山のような「不条理」があって、旅の途中何度もそれに直面した。
私は何をすべきなのだろう。何ができるのだろう。
 
 
 
オールドダッカの夕日はきれいだった。
そこにいた物乞いの少年は私の首から下げていたカメラを指差し、近くで物乞いをしていた足のない少年を呼び寄せた。
 
シャッターを押したあとも、彼はじっと私の目を見つめていた。他の少年たちのように、デジカメの液晶に写った自分の姿を見て、はしゃぐようなこともなかった。
ただ、あまりに瞳が強かった。