三日前、バングラデシュに着いた。
空港からタクシーでホテルへ。ガイドブックが不足している以上、これも行き当たりばったりだ。
タクシー運転手が道行く人に尋ねながら、ようやく一泊600円程度の宿を発見。
 
泊まるとホテルの従業員らが総出で私の部屋にくる。外国人がよほど珍しいらしい。
しばらくして、「女の買わないか」と誘われる。一回20ドルらしい。
最上階の食堂に向かう途中、ホテルに「備え付け」の売春婦たちを見た。七階の一室で男から声がかかるのを待っていた。
 
バングラデシュはイスラム教国でありながら、売春が堂々と行われている国だ。エジプトにしろヨルダンにしろ売春はあるのだろうけど、少なくとも「堂々」とは行われていなかった。
 
「今日は疲れている」誘いをなんとか断る。それでも、"we have so sweet girls"と言って一向に引かない。面倒な問答だった。
「明日な」というとようやく引き下がってくれた。それから毎日、「明日な」と言っているわけだが。
 
英語が使える従業員が一人いた。リンコンと名乗るこの男は、現在大学院生らしい。
彼から一時間ぐらい、この国の売春事情についてインタビューがとれた。
「私も君と一緒で、貧しさから売春婦になる状況はよくないと思っている。売春を助長するようなこともしたくない。でも生活するためにはこのホテルの従業員をするしかないのだ。」
 
別の従業員が、私に売春を勧めている映像もとれた。
今日の夜にでも、彼の通訳のもと売春婦のインタビューを試みたい。
 
 
人口が一億二千万を超えるこの国ではあるが、某ガイドブック地球の歩き方は存在しない。人口200万のブータンのは存在するのに。
 
ダッカの街は汚く、ごみが散乱する。観光客の姿は皆無だ。
日本人の私が歩けば、回りの人間の視線を一身に集めることになる。
 
物乞いの数は、カンボジアと桁が違った。街にあふれている。
どんな国でも、外国人居住区とその周辺は近代化されているものだった。でもここは違う。
どんな国でも、ネットカフェも安宿も無数に存在していた。でもここは違う。
 
首都ダッカにもかかわらず、これまで私は発見できたネットカフェはわずか二件。うちひとつは日本語可能だったため、ようやくブログをかけたわけだ。
中級レストランは外国人居住区周辺に数件あるだけ。ほかは蠅の飛び交う大衆食堂だ。
カレーとナン、チキンとマトンしかメニューはない。
 
途上国を旅するとき、基本的にはその町の雰囲気に溶け込むように努力してきた。カンボジアでも、エジプトでもパレスチナでもヨルダンでも。
しかしバングラデシュはそのような国々と、発展のレベルが違うのだ。レベル20でバラモスに挑んでいる気分だ。
 
さて、一昨日、食堂で出てきた水をそのまま飲んだ。蠅の飛び交う中、チキンやらカレーやらを食っていた。そして夜中からどうも下痢が止まらなくなってきた。朝になると吐き気がでてきた。
昼頃には5、6回吐いていた。
 
ダッカの病院で点滴を受け、薬をもらった。
「大衆食堂には入るな」と、訛りの強い英語で医者は言った。一日中寝込んだ。
「タイは楽しかったな」カオサン通りが懐かしかった。
 
バングラをなめていた。中東とか東南アジアと同じ次元で考えてはいけない。
 
バングラ人は親切な人が多く、話していると楽しい。
しかし、ダッカという街はどうも好きになれそうにない。